点群データを使った測量方法

点群データを用いた測量にはさまざまな手法があり、用途や対象となるエリアによって使い分けられます。代表的な方法としては、航空レーザ測量、UAVを活用した測量、そして地上レーザ測量があります。これらの手法はそれぞれに特徴があり、適切な選択が重要です。

航空レーザ測量

航空レーザ測量は、航空機に搭載したレーザスキャナを用いて、上空から地表面を面的に計測する手法です。航空機が広範囲を効率よく飛行しながらレーザを照射し、反射して戻ってくる信号を解析することで、地形の高低差を含む正確な3Dデータが得られます。この手法は、都市計画や大規模なインフラ整備のために、広いエリアを一度に把握する必要がある際に有効です。

航空レーザ測量の最大の利点は、広範囲を効率的に計測できる点です。人が立ち入るのが困難な山岳地帯や森林地帯でも、上空から地表面のデータを取得できるため、アクセスが難しい場所でも正確な情報が得られます。また、樹木が茂っている地域でも、レーザが樹木の隙間を通って地表に到達するため、地表面の形状を精密に捉えることが可能です。

一方で、この手法にはいくつかの制約もあります。例えば、航空機からの計測では、地上の建造物や構造物によってレーザが遮られる場合があります。また、測量精度は他の手法と比較すると若干劣ることがあるため、高い精度が求められる用途には適していない場合もあります。

UAVを活用した測量

UAV（無人航空機、いわゆるドローン）を用いた測量は、比較的小規模なエリアでの測量に適した手法です。航空レーザ測量と同様に、UAVにレーザスキャナやカメラを搭載し、空中から地表や構造物を撮影します。この手法は、局地的な地形調査や建築物の検査など、精密なデータが必要な場合に効果を発揮します。

UAV測量の利点は、高密度かつ高精度なデータを短時間で収集できる点です。ドローンを低空で飛行させることで、詳細な地形や構造物の情報を取得することができます。また、UAVは人が立ち入れない危険なエリアでも安全にデータを取得できるため、災害現場や建設現場の調査においても活用されています。

ただし、天候や航空法の規制などによる制約も存在します。強風や雨天の状況では飛行が困難であり、計測が中断される場合があります。また、規制によりUAVの飛行が制限される地域も存在するため、事前の確認が必要です。

地上レーザ測量

地上レーザ測量は、地上に設置されたレーザスキャナを使用して、地形や構造物の詳細な3Dデータを取得する手法です。この方法は、他の測量手法と比べても精度の高いデータを取得できるため、建築現場や都市の詳細なマッピング、さらには工事完成後の検査などに用いられることが多いです。

この手法の特徴として、地上から計測を行うため、航空やドローンでは取得が難しい狭い空間や構造物の細部に至るまで詳細な情報を得ることができます。道路工事やトンネルの掘削現場などでは、他の手法では取得しにくい場所でのデータ取得が可能です。また、レーザスキャナを用いた測量は、計測作業自体が短時間で完了するため、工期の短縮にも寄与します。

車載写真レーザ測量

車載写真レーザ測量は、車両にレーザスキャナやカメラを搭載し、移動しながら周辺の三次元データを取得する手法です。この測量方法は、道路周辺の正確な三次元情報を効率よく取得できます。

車載測量では、車両の走行に合わせてレーザスキャナが連続的にデータを取得し、同時にカメラによって周囲の映像情報も記録されます。取得した点群データと映像データを統合することで、立体的なモデルを構築できます。道路の勾配や幅員、周辺の構造物の位置関係などを正確に把握できるため、道路設計や施工の際の詳細な情報として活用されています​。

メリットは、交通規制が不要な点です。従来の地上測量では、一時的な交通規制が必要となる場合がありますが、通常の車両の走行と同じ速度でデータを取得できるため、交通への影響を最小限に抑えられます。また、トンネル内や橋梁の下など、航空測量ではカバーしきれない場所でも有効に活用できる点も強みです​​。

しかし、山間部などでGNSS（全球測位衛星システム）の受信が困難な場所では、正確な位置情報が得られない場合があります。他の測量手法と組み合わせることで補完が可能です。