点群データの活用方法は、業界ごとに異なります。例えば、建築・土木業界では施工管理や進捗確認、製造業では製品検査や品質管理の場面で活用されています。どのビューワーを使うか選ぶ際には、自身の業界に適した機能を持つものを選びましょう。
クラウド対応のビューワーを選ぶことで、複数のチームメンバーとリアルタイムでデータを共有できます。特にリモートワークが普及している現代では、クラウド対応の有無が業務効率に大きく影響します。
点群ビューワーには、サブスクリプション型と買い切り型があります。サブスクリプション型は定期的なコストが発生するものの、定期的にアップデートされるので新しい機能を利用できます。一方、買い切り型は機能の更新はありませんが、長期的にみるとコストを抑えられます。
点群データは膨大な情報量を持つため、PCのスペックが動作に大きく影響します。高性能なGPUを必要とするビューワーも多いため、使用予定のPCスペックとビューワーの動作要件を事前に確認することが重要です。
建築・土木業界で導入するには、BIM(Building Information Modeling)との連携が可能なビューワーが適しています。代表的なソフトとして「Autodesk ReCap」や「Leica Cyclone」が挙げられます。
なかでも「Autodesk ReCap」はBIMとの統合がスムーズで、大規模な建設プロジェクトでの使用に適しています。一方「Leica Cyclone」は高精度な点群処理が可能で、レーザースキャナーとの相性が良好です。
製造業では、精密な計測やCADデータとの統合が求められ、「Geomagic Control X」や「PolyWorks」がよく使われています。
「Geomagic Control X」は高精度な寸法測定が可能で、リバースエンジニアリングや品質管理に活用されます。「PolyWorks」はリアルタイムな点群データ処理が可能で、大規模な製造ラインでの使用に適しています。
測量業向けには大規模な点群データを扱えるビューワーが適しており、「Trimble RealWorks」や「CloudCompare」が評価されています。
「Trimble RealWorks」は、大規模な地形データの処理に有効で、GISやCADソフトとの連携が可能です。「CloudCompare」は無料で利用でき、データの軽量化や解析に優れています。
VR/AR分野では点群データを3D空間に統合し、没入感のある可視化が求められ、「Unreal Engine」や「Unity」と互換性のある点群ビューワーが便利です。
「Unreal Engine」はフォトリアリスティックなレンダリングが可能で、大規模な3D空間の構築に向いています。「Unity」は軽量かつ柔軟なプラグイン対応が特徴で、幅広いVR/ARアプリケーションで使用されています。
文化財や考古学分野では、高精度な3Dスキャンデータを可視化できるビューワーが求められます。「Agisoft Metashape」や「RealityCapture」に搭載されている機能が適しています。
Agisoft Metashapeはフォトグラメトリー技術を活用し、高精度な3Dモデルを生成できます。RealityCaptureは計算速度が速く、大規模なデータセットの処理に適しています。
山梨県の県土整備部では、山間部の多い地形条件からICT土木施工(3Dデータ活用による施工)の導入が困難な現場が散在していることに悩んでいました。そこで県は、点群処理システムを導入し県内各地の建設事務所に配備するよう手配。
ドローン空撮や地上レーザースキャンで取得した地形・構造物の点群データを用いて、現場で出来形管理(出来高・形状の検証)や断面図の抽出を迅速に行えるようにしたのです。導入後は、現場の状況を点群データから即座に把握し必要情報を迅速に提供できる体制が整い、施工の効率性が大きく向上しました。
例えば道路工事や河川工事では、安全性の事前検討が詳細データに基づき可能となり、リスク低減にも寄与。さらに点群データに基づく詳細な地形解析や施工計画立案も可能となり、公共工事全体の生産性向上に繋がっています。
このように地方自治体レベルで点群ビューワーを全域展開し、地域インフラ維持管理・施工にデジタル変革をもたらした事例です。
参照元:福井コンピュータ『CONST-MAG』
(https://const.fukuicompu.co.jp/constmag/info/140)
静岡県は「VIRTUAL SHIZUOKA(バーチャルしずおか)」と称するプロジェクトを発足し、県内ほぼ全域を対象に航空レーザ測量等で取得した膨大な点群データを蓄積。防災・減災、まちづくりへの利活用を目的としてオープンデータ化を進めています。
実際の活用例として、2021年7月に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流災害では、災害前に公開されていた地形の点群データと災害後に緊急計測した点群データを比較することで、崩落土砂の範囲や流出土量を迅速に把握。これにより被害規模の早期評価や、二次災害の恐れがある土砂量の推定が可能となり、救助活動の安全確保に役立ちました。
また静岡県はデジタルツイン分野で東京都と連携しており、東京都の3Dビューア上で静岡県の点群データを表示するなど自治体間でデータを共有する動きもあります。このように広域の詳細な点群データを整備・公開した静岡県の事例は、オープンデータによる公共インフラの利活用として先進的です。その成果は防災のみならず、都市計画や環境モニタリング、教育・研究など多方面で期待されています。
参照元:「バーチャルしずおか」
(https://virtualshizuokaproject.my.canva.site/)
東京・上野の国立西洋美術館では、本館建物(ル・コルビュジエ設計で世界遺産)の保存と情報発信のため、3D点群データの活用に踏み切りました。1959年に竣工した美術館本館は竣工当時の設計図が完全には残っておらず、また経年変化や改修で現状が図面と異なる部分もあります。さらに万一建物が損傷・焼失した場合に備え、現在の状態を精密に記録して将来に残す必要がありました。
そこで館では3Dレーザースキャナーによる全館計測を行い、高精度な点群データを取得。そのデータを基に、2023年7月より新しいデジタルコンテンツ「ゆびさきでめぐる世界遺産 -ぐるぐる国立西洋美術館-」の公開を開始しました。来館者は館内に設置された空間再現ディスプレイや自身のスマートフォンを用いて、普段は立ち入れない本館屋上や吹抜け内部を含む3D空間を自由に閲覧・体験できます。
指先で触れるような直感操作で建物内部をぐるりと見渡せるこの展示により、来館者は世界遺産建築の魅力を楽しみながら理解を深められます。加えて、この点群データは館の維持管理や修復計画にも活用される予定で、唯一無二の文化財をデジタルの力で守り伝える取り組みとなっています。
参照元:エリジオン公式HP
(https://infipoints.elysium-global.com/case-study/nmwa)
高解像度の点群データを処理するためには、高性能なGPUと十分なメモリを備えたPCが不可欠。使用する点群データの処理に必要なスペックを事前に確認し、適切なマシンを選定しましょう。
また、データの圧縮やサンプル地点の間引きなども併せて行いましょう。
クラウド対応の点群ビューワーを選定すると、メンバー間でリアルタイムにデータ共有できます。一方で情報漏洩や不正アクセスのリスクも生じます。
データにアクセスできるメンバーを制限したり、暗号化などの対策を取りましょう
高機能なソフトほど操作が複雑になりがち。初期導入時に適切なトレーニングを実施し、マニュアルを整備して業務効率向上を目指しましょう。
効率的なデータ確認や品質管理において欠かせないツールになりつつある「点群ビューワー」
各業界で使われる様々なデータ形式や必要機能に応じて適切なビューワーを選ぶことが重要になります。