
3D空間の情報を高精度で取得する「点群データ」がさまざまな分野で活用されています。本記事では、点群データの基本的な定義から、その取得方法について解説します。
点群データとは、3D空間上の無数の点(ポイント)から構成されるデータで、それぞれの点にはX, Y, Zという座標情報が含まれています。この座標により、現実世界の物体や環境の形状を忠実に再現することが可能です。建物や地形などをスキャンした際に、数百万から数十億点ものデータから生成されます。
この点群データは、3DレーザースキャナーやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)などの計測技術を用いて取得され、得られたデータは3Dモデルの作成・シミュレーション・解析などさまざまな用途に活用されます。
取得した点群データは、直接そのまま使うことは難しいため、編集や加工を経て活用されます。
取得された点群データには不要な情報(車や人、樹木など)がノイズとして含まれるため、これを専用ソフトでフィルタリングし、必要なデータのみを残します。
複数の角度からスキャンされたデータを統合し、正確な3Dモデルを作成するために位置合わせを行います。自動化されたツールやマーカーを使用して、データの正確な重ね合わせが可能です。
点群データをポリゴンでつなぎ、面を作成することでメッシュデータに変換します。この変換によって、3Dモデルが視覚的に明確な形状を持つようになります。
メッシュデータをさらに滑らかに表現するため、サーフェスデータに変換します。これは、より正確でリアリティのある曲面を表現するために使われます。
ノイズ除去や位置合わせ、メッシュ・サーフェスデータへの変換といった各ステップを通じて、最終的に3Dモデルとしてさまざまな分野で利用可能になります。
多彩な表示オプションとユーザー間での情報連携において、点群データの可視化と解析を円滑にするために利便性の高い点群ビューワーの選定は極めて重要です。自社のニーズに合わせた製品を探してみてください。
点群データは、精密なデータを短時間で取得できるため、以下のような分野で広く活用されています。
点群データは、建築物やインフラの3Dモデルを作成する際に使用されています。新しいビルの建設現場では、点群データを用いて正確な地形情報を把握し、設計との整合性が確認可能です。
橋や道路などのインフラの点検にも使用され、経年変化の追跡や早期の修繕計画の策定に活用されます。
点群データは、古い工場設備のレイアウト変更やメンテナンス計画にも活用されています。古い設備はしばしば紙の図面しか残っていないため、現状を3Dスキャンして点群データを生成し、設備の配置を再設計する際に有用です。
また、点群データは複雑な配管や配線の確認にも役立ち、新しい設備の設置や改修時の計画立案を支援します。
自然災害が発生した際、被害地域の状況を迅速に把握するために点群データが活用されています。
地震や台風の後、被災地の建物や地形をスキャンして3Dモデルを作成し、被害の正確な範囲や復旧作業の優先順位を決定するのに役立ちます。従来の人力での査定に比べ、効率的かつ正確な災害査定が可能です。
歴史的建造物や文化財の保護のため、現状を記録する必要があります。点群データを用いることで、物理的な接触を避けながら建物の細部までデジタル化し、後の修復や復元作業に役立てます。
自動車業界では、自動運転車の開発において点群データが不可欠です。LiDARを搭載した自動車は、周囲の環境をリアルタイムでスキャンし、得られた点群データを基に障害物や道路の状況を認識します。
車が周囲の環境を把握し、安全に走行できるようになっています。
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