製造業の点群データ活用方法

製造業では、金型や大型設備の設計・製作で、精度の高い測定と効率的なプロセス管理が不可欠です。従来の手法では時間やコストがかかる工程に、点群データを活用して課題解決につながっています。事例をもとに、業務改善に繋がる点群データの活用場面を見ていきます。

製造業界での点群データの活用方法

製造業界では、リバースエンジニアリングやデジタルツイン作成、仮想空間での作業計画策定などで活用されています。

リバースエンジニアリングは既製品の構造を分析して製造方法や部品を調べるもので、自社製品の開発・改良や分析に使われます。古く図面が存在しない部品でも、リバースエンジニアリングで点群データから3Dモデルを作成することで既存製品をコピーできます。

製品の点群データを生成し、3Dモデルを構築してデジタルツインとして利用すれば、現場と設計図の差をすぐに確認できます。また、点群データと設計データを比較して品質管理、検査を行ったり、作業に必要なスペースや高さを正確に把握したりできるため作業機械の稼働計画や足場設置計画の策定にも活用できます。

事例1:ツバメックス

ツバメックスは、自動車部品用プレス金型の製作において、手作業による金型玉成(仕上げ工程)に課題がありました。技術者が手測定による調整を行うため、計測精度にばらつきが生じるという問題です。

そこで、非接触式測定機を導入したことで、点群データを活用した精密測定が可能となりました。CADデータと点群データを比較しながら、誤差をカラーマップで視覚化します。この方法により、金型の仕上げ工程が効率化され、CADデータを基に正確な玉成指示を出すことが可能となりました。

導入により、金型の玉成回数は平均で2回削減され、工程全体の効率が向上しました。

参照元:アルモニコス(https://www.armonicos.co.jp/spgauge_blog/16/)

事例2:ワイテック

部品に使用されるハイテン材(高張力鋼)の採用により、成形時のスプリングバックが増え、精度修正が複雑化しています。このため、従来の測定方法では、測定誤差や修正回数が増え、効率が低下することが課題でした。

これに対し、ワイテックでは非接触測定機を活用し、部品の自然な精度の測定が可能になりました。また、成形工程ごとにパネルの形状を測定することで、精度変化を数値化し、工程の修正量を明確化しています。

点群データを用いた測定技術により、精度修正回数の削減が実現しました。従来の平均7回から3.5回に削減され、工程全体の効率が向上しています。

参照元:[PDF]アルモニコス(https://www.armonicos.co.jp/mgr/wp-content/uploads/2020/02/spGauge-_y-tec_casestudy_201806.pdf)

事例3:新生製作所

引用元:エリジオン(https://infipoints.elysium-global.com/case-study/shinsei)

新生製作所では、鉄骨建築物の製作において、現場調査の手法が課題でした。複雑な形状の鉄製品を製作する際、1回の現場調査で正確なデータを取得することが難しく、手作業でのトレースに時間とコストがかかっていました。

そこで、3Dレーザースキャナーと点群データを活用して、現場調査の精度を向上させました。点群データを基にCADモデルを作成し、製品の製作図に反映させることで、手作業に頼らず正確なデータを活用できるようになりました。

技術導入により、現場調査の正確性が向上し、作業の手戻りが減少しました。さらに、これまで請け負うことが難しかったトンネルの隔壁製作などの複雑な案件も施工できるようになり、新たなビジネスチャンスが生まれました。

参照元:エリジオン(https://infipoints.elysium-global.com/case-study/shinsei)

まとめ

点群データの活用は、製造業における現場調査や設計、製作の効率化に貢献しています。事例からわかるように、デジタル技術を活用することで、従来の手作業に頼ることなく、コスト削減と作業精度の向上を実現できます。これからも点群データは、製造業のデジタル化を推進するツールとなるでしょう。